ヤマセミの営巣地での悲劇と歓喜

ヤマセミのホバリング

昨年、ヤマセミが営巣している栃木の川に撮影に行きました。子育て真っただ中の時期、ペアで給餌に忙しくしているのを期待していました。ところが。

着いて三脚を立てて巣の方を見ても、動きがありません。もうそろそろ雛も大きくなり給餌に忙しいころなのに。常連の方の話だと、「昨日まではメスがせっせと餌を運んでいたんだけど、今日はメスを見ていない」という事でした。

ヤマセミ

オスは巣の近くの高枝に止まってじっとしています。

皆でどうしたんだろうと話していると、トンビが上空をぐるぐる回っていて、カラスも2、3羽せわしなく飛び回っています。なにか嫌な雰囲気です。

するとトンビが急降下して川に降りてきました。そして何かを掴んで飛び立とうとしたときに、カラスが2羽邪魔をして掴み切れず飛び立ちました。近くで見ていたカメラマンが、「ヤマセミがトンビに捕まりそうになって、カラスが横取りしようとしてトンビを威嚇している隙に下流に泳いで逃げて行った」と。

どうやらメスは何らかの理由で怪我を負い川に降りていたようで、それをトンビとカラスが狙っていたようです。ひとまずトンビとカラスが喧嘩しているうちに下流に泳いで逃げれたようです。

しかし逃げるときに飛べない状態ならかなりダメージを負っているのではないかと心配です。雛が大きくなってきて、あと1週間ほどで巣立つ頃だというのに、メスがいなかったらどうなるんだろうと。しかもせっせと給餌していたのはメスの方だったと。常連さん曰く「オスは何もしてないよ、たまに餌獲って運んでるくらい」と。

皆でメスが逃げれたという事にホッとしていました。メスもしばらく身を潜めていれば回復するだろうと。

しばらくするとまたトンビが急降下してきました。そして何かを川で掴んで藪の方へ行きました。そのトンビをカメラマンが撮影していて、見せてもらいました。ヤマセミをがっちり足で掴んでいました…

そこにいた全員が言葉を無くしました。

何かのアクシデントで手負いの状態で飛べずに川に降りているところを襲われて、一度は逃げたもののまた捕まってしまったのではないでしょうか。

オスも高枝からその状況を見ていました。

これが自然の厳しさなんですね。いかに子孫を繁栄させていくことが難しい事なのか。

オスは一人になってしまったせいなのか、目の前でメスが捕まったのを見たせいなのか、しょんぼりしているように見えます。時折川に降りて水浴びをするものの、高枝から動こうとしません。雛は今日はまだ餌を食べていません。巣穴から雛の鳴き声が聞こえるのか、オスは巣穴を気にしています。

ヤマセミの子育て
心配そうに巣穴近くで見守るヤマセミのオス
ヤマセミの子育て
心配そうに巣穴近くで見守るヤマセミのオス

カメラマンも、「ここの雛は今年はダメだなあ」とがっかりして帰っていきます。

トンビやカラスが上空をうろうろ飛び回っています。この状況だとオスも餌を獲れないのでしょうか。

そうこうしているうちにカメラマンは自分と茨城から来ているTさんだけになりました。もう夕方になってしまいました。これからここの雛はどうなるんだろうと、やりきれない気持ちでした。

すると突然オスが飛び立ち、堰堤の上に行き川を見下ろしています。すぐさま川に飛び込みカジカを捕まえて巣穴に向かいます。

魚を狩るヤマセミ

魚を狩るヤマセミ

魚を狩るヤマセミ

 

餌を狩るヤマセミ

餌を狩るヤマセミ
雛が食べやすいように頭を前に持ち変える

餌を狩るヤマセミ

餌を狩るヤマセミ
急いで巣穴に餌を持ち帰る

餌を狩るヤマセミ

巣穴に餌を持ち帰るヤマセミ

巣穴に餌を持ち帰るヤマセミ

巣穴に餌を持ち帰るヤマセミ

雛が大きくなって、巣穴で転回するスペースがなくなるため、巣立ち間近になるとバックで出てくるようになるそうです。

巣穴から出てくるヤマセミ
巣穴から出てくるヤマセミ

巣穴から出てくるヤマセミ

巣に入るとすぐに後ずさりで出てきてまた堰堤の上へ。

狩りをするヤマセミ

狩りをするヤマセミ

狩りをするヤマセミ
鮎をゲット
狩りをするヤマセミ
くちばしで魚の前後を入れ替える
狩りをするヤマセミ
魚の頭を地面に叩きつけてしめる

そしてまた飛び込んで鮎を捕まえてすぐに巣穴へ。ついにオスにスイッチが入ったうです。一緒にいたTさんと歓喜です。

同じ場所で何度もダイブすると魚が獲れなくなる様で、狩場をかえます。

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休みなく給餌を続けました。初めのうちは連続で狩りが成功していましたが失敗も増えてきました。オスはひたすら続けていました。その姿を見て涙が出てきました。オスも餌を食べていないのです。そして20回程度餌を運ぶとやっと小さいカジカを捕まえて、自分で食べました。

ヤマセミ 狩りをするヤマセミ

今までメスがほとんどの給餌を行っていて、メスがいなくなってどうしていかわからないのでは?思っていましたが、怒涛の連続狩りで雛に1日分の餌を与えました。頼もしいオスです。

その日は何とか雛に餌を与えることができましたが、これを雛が巣立つまでの数日、巣立った後にも数日オス1羽でやり遂げられるのだろうか?そんなことを考えながら帰路につきました。しかし今日のこの勢いならきっと大丈夫だろうと。

シングルファーザーになったヤマセミの子育て奮闘 に続く

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